
16/01/2025
【一子相伝なかむら】さん。1階の座敷に通されます。掘りごたつになっています。
まずは、大福茶。京都のお正月ならでは。
先付けは深緑の貝殻を思わせる器に。
新巻鮭を寒晒しして。数の子や大根おろしを添えて。
実は器も貝合わせになっていて、ふたに上の句、うつわには下の句。小野小町「花の色は…」でした。
次に、小野小町の句をあしらったお椀をあけると、白味噌雑煮。なかむらさんの看板メニュー。白味噌に焼いた丸餅。丸餅にほんの少し、辛子を乗せ、最後にご主人が出汁をかけるというもの。京料理=シンプルの典型。
天然の孟宗竹をうつわに、お造りが。平目の昆布締めと烏賊。
続いては、今年の初筍。たけのこの下には、柴漬けを載せた飯蒸し。
お椀は、焼いた鰤や金時人参を白味噌で。
同じ白味噌でも、雑煮とはまるで違った味わい。
乾山写しのうつわには、煮物。
堀川牛蒡や海老芋、くわいなど。
焼魚は、これも名物の若狭ぐじ。
身をいただいたあと、熱い昆布出汁をかけていただくと、良いお味。
食事は、小豆がゆに香の物。厄除のまぢないでいただく、お正月の定番です。
水物は、熊本の晩白柚。あまおうなどとあわせて。
今どきの板前割烹でも、工夫した美味しさをいただけますが、なかむらさんのような京都の老舗は、老舗ならではの良さがあります。
板前割烹が足し算ならば、なかむらさんは、引き算。山海の珍味やブランド牛などなくても、京都で手に入る食材に、先祖代々の技術と当代の工夫でいただける滋味。