04/06/2026
◇川上 伸の陶芸教室◇
和良町に穴窯を構える陶芸家・川上 伸さんに取材させていただきました。
「奧の画廊で休んで待ってて」と、
思い入れのあるだろう壁に飾られた絵や作品を見ながら川上さんの登場を待つ。
現れた川上さんはとてもラフな出で立ちで、
「さぁ、何を話そうか。何が聞きたい?」
と優しい面持ちで、少し薄暗い画廊のパイプ椅子に腰をおろす。
私は、ご近所さんでもある川上さんにまだご挨拶も出来ていないままだったので、ずっとお会いしたかった旨を伝えた。
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「郡上焼」の創始者、川上 伸さんは、御嶽山の麓で生まれ育ち、和良町は母親の実家である。
奈良芸術短期大学時代は油絵を専攻、
天才だと自信に溢れた若かりし頃、
飛騨での合宿中、真冬の凍てつく夜明け、川上さんが目を覚ますと隣で寝ているはずの恩師が、褞袍(どてら)を着て絵を描いていた。
それを見た川上さんは、「俺はそんな先生の隣でただ寝ていたんだ…」と愕然とし、油絵をやめようと決めたと、川上さんは包み隠さず教えてくれる。
ある時、縄文土器の発掘に携わっていた。
そんな頃に、師事・鈴木 五郎氏に出会う。
川上さんに釜をつくるよう言います。
「窯は人間がつくるもので、猿にはつくれない」
友人2人で13m程の窯を仕上げ、4、5日寝ずに火を入れたという。
川上さんの穏やかな語り口は、まるで映画の
ワンシーンを観ているかのように頭の中に映像を映す。
「郡上焼きはなぁ、郡上で作って焼いてるからそう言うんや」とそんな単純と思うが、
「肩書きや名前なんてものは他人が勝手につける」
なんて物言いに、私は職人や作家さんの“こういう感覚が”つくづく好きだなぁと感じた。
川上さんのお話は面白く刻々と時間は過ぎゆく。もっと聞きたい。
窯作り、土作り、釉薬作りも果てしない労力である。生半可な覚悟では到底なし得ない作業だ。良い土に出会えば、土を取りに山に登り、リュックに土を詰めては何往復も続く。
釉薬は十数種類にも及び、炭や鉱物を独自の比率で調合し、完璧に調合しても窯の中の炎の機嫌ひとつ、作家のほんの少しの動作や、わずかな心の乱れだけでも作品の仕上がりに響くという。
年齢と共に気力や体力も削られていく現実を川上さんも感じている。
川上さんが今望むのは、長い年月を共に生きた窯や、これまで集めた10トンにもなる土を、釉薬を誰かに繋ぐこと。
「後継者とまでは言わないが、ただ、焼き物を愛してくれる、楽しんでくれる人に会いたい、やってもらいたい」
穏やかな笑顔の奧に滲む切実な思いに胸が締め付けられる。
最後に、
次回は陶芸教室に来ます、
それから近所なのでプライベートで遊びに来ても良いですか?と今後に続くお話ができた。
私の拙い問いかけにも笑顔で答えてくれる、気さくで優しい、温かい人柄の川上さん。
彼のこの思いが、誰かに届くことを願って、
ぜひ一度、郡上和良の陶芸家・川上 伸さんに会いに来て欲しい。
地域おこし協力隊:鎌田 香
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